エストロゲン
| 医療に関する記事については免責事項もお読みください。 |
エストロゲン(英: Estrogen)は、ステロイドホルモンの一種。
一般に卵胞ホルモン、または女性ホルモンとも呼ばれる。
目次 |
編集 種類
一般に以下の3種類が知られている。
編集 生成
卵巣の顆粒膜細胞、外卵胞膜細胞、胎盤、副腎皮質、精巣間質細胞で作られ、思春期以降分泌が増加し、プロゲステロンとともに月経周期に応じて濃度が変化する。女性の性活動、二次性徴を促進する働きがある。更年期以降は分泌が減少する。女性の尿には、大量のエストロゲンが含まれるため、下水処理水も多量のエストロゲンを含むことになり、環境ホルモンの環境への排出が問題になったことがある[1]。
男性の場合はテストステロンを元にエストロゲンが作られて分泌される。その量は更年期の女性と同程度とされる。思春期にテストステロンが増えるのにつれエストロゲン濃度も増加し、ホルモンバランスにより女性化乳房が起こったりすることがある。
エストロゲンはコレステロールから合成されるステロイドホルモンの一種で、プロゲステロン、コルチゾール、アルドステロン、テストステロン等と同じカスケード反応系列中にある。
編集 分解
エストロゲンの分解は他のステロイドホルモン同様、主に肝臓で行われる。グルクロン酸抱合を受け、胆汁排泄または尿中排泄される。尿中に含まれるのはエストロゲンではなく、分解産物であるプレグナンジオールであり、この濃度による妊娠診断が行われている。肝臓障害によりエストロゲン分解能力が低下すると、慢性的エストロゲン濃度の上昇を引き起こし、男性では乳腺肥大(女性化乳房)、女性では性周期の乱れなどが生じる。経口摂取されたエストロゲンのほとんどは、腸で吸収されて門脈から肝臓に入って分解されてしまう。経口的にエストロゲンを摂取するには、分解されにくいエストロゲン誘導体を摂取する必要がある。
編集 植物性卵胞ホルモン様物質
植物の中には、エストロゲンと似ている生理作用を持つ物質もある。大豆などに含まれるイソフラボンが代表であり、弱いエストロゲン作用から更年期障害や2型糖尿病の改善に効果があるといわれている。厚生労働省に調査を依頼され、食品安全委員会がサプリメントや添加物としてのイソフラボンの過剰な摂取に注意を呼びかけている。食品安全委員会は「現在までに入手可能なヒト試験に基づく知見では、大豆イソフラボンの摂取が女性における乳がん発症の増加に直接関連しているとの報告はない[2]」と報告している。プエラリア(en:Pueraria mirifica)の根茎に含まれるミロエステロールやデオキシミロエステロールは、イソフラボンより作用が強く、豊胸用などのサプリメントとして販売されているが、それだけに副作用の懸念も指摘されている。
編集 生理作用
エストロゲンはステロイドホルモンの一種であり、その受容体(エストロゲン受容体:ER)は細胞内にある。エストロゲン-受容体複合体は核内へ移動し、特定の遺伝子の転写を活性化する。エストロゲンの受容体は全身の細胞に存在し、その働きは多岐にわたっており、その解明にはまだ時間がかかりそうである。一般的に知られているのは、乳腺細胞の増殖促進、卵巣排卵制御、脂質代謝制御、インスリン作用、血液凝固作用、中枢神経(意識)女性化、皮膚薄化、LDLの減少とVLDL・HDLの増加による動脈硬化抑制などである。
また、成長期においては身長の伸びを止める作用があり、女性の多くは思春期が始まると身長の伸びが落ち、やがて停止する。家畜においては受胎を阻止するために、交配後2~48時間以内にエストロゲンを注射することが効果的であることが知られている。
近年の研究では心臓の保護効果も発見されており、心筋梗塞などの心疾患を防ぐ効果があると考えられている。ただし、ホルモン補充療法は近年の大規模臨床試験において副作用が指摘され、動脈硬化や骨粗鬆症に対しては他の治療法が推奨されている。
編集 関連項目
編集 脚注
- ^ 東京都環境科学研究所「2.環境科学研究所のこれまでの研究成果」
- ^ 食品安全委員会「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の 安全性評価の基本的な考え方」 2006年5月、35頁
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
